日本は世界第4位のトイレットペーパー消費大国。トイレットペーパーの環境への影響と代替としての“竹”の有効性

日本は世界第4位のトイレットペーパー消費大国。トイレットペーパーの環境への影響と代替としての“竹”の有効性

トイレットペーパー、ティッシュペーパーといったティッシュ製品の多くは、木材パルプからつくられています。もちろん木材パルプだけでなく、古紙も使われていますが、木材パルプに限っていえば、毎日27万の森林が伐採されており、その10%がトイレットペーパーによるものなのだとか(WWF調べ ※1)。

気候変動の影響を回避するためにも、世界の森林を保全することがもはや不可欠ですが、NRDC (Natural Resources Defense Council:資源保護協会)のレポートによると、この解決策はすでにあるといいます。それは、ティッシュ製品に再生パルプなどのリサイクル素材や、小麦藁や竹といった代替繊維を使うことです。

この記事では、ティッシュ製品を使うことで世界の森林にどのような影響があるのか、またどのような解決策があるのか、NRDCによるレポート「THE ISSUE WITH TISSUE:HOW AMERICANS ARE FLUSHING FORESTS DOWN THE TOILET(https://www.nrdc.org/sites/default/files/issue-tissue-how-americans-are-flushing-forests-down-toilet-report.pdf)」より引用して紹介します。

(※1)WWF Webサイトより

 

ティッシュ製品の消費がもたらすこと

ティッシュ製品の消費は、地球の気候変動に影響を及ぼしているだけでなく、先住民族や希少な野生動物にも影響を与えていると考えると、私たちはティッシュ製品の生産も消費も、見直すべきときが来ているのかもしれません。(以下引用)

“トイレットペーパー、ペーパータオル、ティッシュペーパーといったティッシュ製品は安価で便利だが、ティッシュ製品の多くは木材パルプからつくられているため、地球に大きな負荷がかかる。日々、私たちがトイレットペーパーを消費すればするほど、世界中の森林が失われていく。つまり、森林をトイレに流している。その結果、先住民族や希少な野生生物にも影響を与え、壊滅的な気候変動すらも招いている。”

“気候変動に影響を与える炭素の“大規模な貯蔵庫”としての役割を果たす北方林(シベリア地方の針葉樹林)を手つかずの状態で維持することは、気候変動の影響を回避するためにも不可欠である。樹木から採取した原生林パルプを原料とするティッシュ製品は、気候変動への脅威となっている。北方林などの森林が減少すると、温室効果ガスの排出を吸収する能力が低下し、さらに、森林の土壌や植生に安全に貯蔵されていた炭素が大気中に放出され、温室効果ガスの排出量を削減するための国際的な取り組みに、大きな支障を与えてしまう。”

ティッシュ製品の消費は特に米国で大きいことが示されていますが、世界の一人当たりの年間トイレットペーパー消費量を見ると、1位が米国、2位がドイツ、3位がイギリス、そして驚くことに、日本が4位に入っています。しかしながら、この解決策はすでにある、とも示しています。(以下引用)

“これらの影響は、特に米国の消費が大きいという事実によってさらに悪化している。米国のティッシュ市場は、中国に次ぐ2番目の市場で毎年310億ドルの収益を上げており、世界人口の4%強を占める米国人によって、世界のティッシュ消費量の20%以上を占めている。針葉樹、白樺、アスペンの木が生い茂るこの広大な土地には、世界に残る最後の手つかずの森林があり、600以上の先住民のコミュニティや、北方カリブー、松テン、数十億羽の鳥類が生息している。アメリカのティッシュ製品の需要を満たすために、工業的な伐採によって毎年100万エーカー以上の北方林が伐採されており、これは例えると1分間にナショナル・ホッケー・リーグ場7つ分に相当する広さである。”

“幸いなことに、この解決策はすでに存在している。製紙企業は、バージンパルプに頼るのではなく、再生パルプや、小麦藁や竹などの持続可能な代替繊維を使用することができる。これらの素材を使用してティッシュペーパーやトイレットペーパーをを製造することで、世界中の森林に対する影響を劇的に減らすことができる。いくつかの企業は既に、持続可能な素材を製品に取り入れ始めている。”

また、大手製紙企業が代替素材を使った商品づくりに投資をしていくこと、一方で生活者はお金の使い方で企業姿勢や製品の変化を促す必要性をとなえています。

“しかし、米国の大手製紙企業の多くは、こうした代替素材に投資するよりも、主要な家庭用ティッシュ製品のバージンパルプに頑なに依存し続けている。一部の企業は、企業、空港、その他の施設向けに販売する家庭外用ティッシュブランドで進歩を遂げていますが、ティッシュ部門で最大の市場シェアを持つ3社、Procter & Gamble、Kimberly-Clark、Georgia-Pacific は、現在でも家庭用ティッシュブランドのほとんどをバージンパルプに頼っている。”

“最大の市場シェアを持つ製紙企業は、世界の森林の未来のために大きな変化をもたらす力を持っている。しかし、森林に壊滅的な打撃を与えている、何十年も前からある製法に固執していることがほとんどである。リサイクル素材や代替繊維はすぐに利用可能な解決策であり、これらの大企業は、自社製品が地球にもたらす問題に取り組むために、多額の研究開発予算を投入する必要がある。一方で消費者は、森林への影響を最小限に抑えたティッシュ製品だけを購入して、お金の使い方で企業姿勢や製品の変化を促すことができる。トイレットペーパーで例えるならば、紙をトイレに流すには、森林はあまりにも重要なのです。”

 

いかがでしたでしょうか。今回参照したレポートでは、ティッシュ製品の環境指数をAからFまでランクづけしたスコアカードも示されていますが、そのスコアは、各ブランドのリサイクル率、漂白がされているか、FSC(森林管理協議会)の認証森林から調達しているかが評価項目となっています。

世界の森林を守るために、私たちは何をすべきなのか。こうしたスコアの評価項目から、どんな製品を選ぶべきなのかが問われているのではないでしょうか。